「ら・わ」の暇潰し定義達
恋愛・・・優秀な遺伝形質を存続させる為の分業を肩代わりする"異形"の略取・奪回手段及び技法
理屈・・・感情を表に出した場合の体裁を取り繕う保険能力。「格好悪い・恥ずかしい・みっともない」を回避する目的で使われ、大抵の場合「醜い」と受け取られるもの
略奪・・・所有権の所在に関係なく相手の持ち物の見事さに思わず手を着ける事(自分のものではない、という意識から発生する"となりの庭はよく見える"症候群)。それに伴う所有権の移動はその限りではない。入手手段が通常時よりも個体のモチベーションを高める効果があり、そのプロセスは常用性あり。発生の主な要因に、他人の所有物を視認する際に屡々ド近眼状態で傍観する事が挙げられる。何故なら対象と自分との距離が"遠い存在で且つ手に入り辛い存在である"ような錯覚を起こさせる為だ。しかし肝要なのは手段・プロセスであり、その行為の延長線上に「惰性・憎悪」が待っているが、それらは次の略奪に向けた"弾み"となる。個体の"趣味"の一種
霊・・・あらゆる("人間"と言う媒体を含む)受信機器に混入する可能性のある雑音
ろくでなし・・・他の指摘に対し"目先のそろばん勘定で何が悪い!"と開き直れるだけの柔軟さを持ち、他に有無を言わさぬ潔さを習得した様。主に馬鹿より派生(参照→馬鹿)。世間的には"立派な〜"と映る事が実証済み
歴史・・・誰を憎むか、誰を尊ぶか、誰を嘲笑するか、誰を羨望するかを人類・民族・地域社会の様々な領域の上で作動するべく作り上げられた"幻想的な理屈"。これの為に個体は様々な制約を無意識に背負い込み、数百年前の怨恨を生きる糧と為す。従ってその多くは「生霊」と化す。これでも尚「自由・平等」を口にするとは正気の沙汰とはとても思えないが
隣人・・・貴方への関心はまるでないが、貴方の挙動には敏感に首をかしげる輩。従って、貴方が自分の中での正当性に遵守し、それを行動の規範としているのであれば、その旨を一連の書簡にしたためて近所へ出向くのも一興かと思われる(場合によっては、一層過敏に貴方を監視し始めるかも知れないが)。何れにせよ貴方が隣人に対して考えている以上に、隣人は貴方や、別の隣人に対しても"気に入らない"と内心考えているものだから
理由・・・"言い分"を受けてその根拠を延々と掘り下げる事。大抵行き着く果てが一向に見えてこなくて諦めて引き返すか、納得したフリ(思い込み)をするか、それ自体に興味を持つ人間がいなくなるか、失意の果てに夭折するかでご破算となる。個体の受け取り方次第で夥しい解釈が存在するも、実際は同じ所を行ったり来たりしているに過ぎない。否、ずっと同じ場所に留まっているとも言える。「道」が存在するものと確信してただひたすら突き進む為に起こる「お釈迦様の掌の孫悟空」現象。屡々これらを「哲学」と呼んで、人間の"暇つぶし"程度の言い訳として嗜む事が許されている(誰から?と言うのはタブー)
リーダーシップ・・・自分の中で 1.さいころ 2.あみだくじ 3.じゃんけん 等による意志決定の長けている様。結局、どんな状況下で、どんな情報を駆使しても、"する"か"しない"という選択肢しかなく、主に"する"の選択で、達成率や成功率が高い時に次回から周囲が依存する条件を備えていると見なされる
良識・・・ご都合主義者が都合する"大風呂敷"。特に「評論家」と呼ばれる生態系がこれを行使、判り切った事を最もらしく、しかも革新的に一般に思い込ませる妖術に長ける。その際語彙力がものを言い、言葉数の多さで利口さをもアピールする事が出来る。「如何に当たり障りのない観念を自己の立脚点としているか」というのが基軸
輪廻・・・「次回こそは前より幸せで楽しく、優れている形質に!」と懇願する事で円滑に運営されるように仕組まれた主催者側の企画意図自律維持装置。本人が帰還して稼働スイッチを切るまで作動しっ放し
老化現象・・・「やらなくてもいい事」を「やりたくてもできない事」と誤認する事で訪れる、行動範囲の狭い趣味に生き甲斐を見出す際のきっかけ
老化・・・タイミングベルトが摩耗する事。故障部分を交換しても、他の部分が経年劣化で使用不能となるが、それが個体サイクルの必然。一つだけ部品を新品にしたところで結果は見えている。それがイヤなら"脳味噌以外"の部品交換が可能になるまでせいぜい長生きする事だ。死ぬ苦しみは遙かに倍増するだろうが
理解・・・相手との不毛のお喋りに「相づち」と「頷き」を効果的に織り交ぜる技術。不意に同意を求められた時に、それまでの話の要約を手際よくまとめると「相互理解」しているものと相手に思い込ませることが可能。その際に気を付けなければいけないのが、意見対象を個人の記憶レベルに蓄積された経験に照らし合わせて吟味し、慎重に言葉を探して発言しようとすれば、貴方は間違いなく"間抜け・偏屈"というレッテルを貼られることになる。賢く見られたいが為の思惑が見事に裏目に出ることを知るだろう 誤解・・・「理解」が帰属する場所。「全ての理解は誤解に通ず」
立派・・・「参考意見」を(知識等により)手際よく言い逃れる、又は黙していても文句を言われないだけの"立脚点"を確保した、と評される事で「揺さぶりをかけてやろう」とする他人の「やっかみ」という"趣味"を刺激するに十分な根拠のある
理想・・・目の前にぶら下がったニンジン。惹き付けられる魅力を有し、離れ行く宿命を帯びる事で一層知覚されるもの。もし貴方の目の前のニンジンが美味そうだったら、貴方はそれを食べる為に悪あがきをすべきだ。稀にニンジンを追うことを止めてしまった人間もいるが、貴方には何の関係もないことだ。「何でニンジンを食べる努力をしないのだ!」などとは訊かぬ事だ。その答え如何で、貴方自身ニンジンを追うことが馬鹿らしくなるかも知れないからだ。「知らぬが花」
流行・・・道端に落ちている石っころに経済的価値を見出す為に正常思考判断を一時的にマヒさせる脳内寄生条虫の一種。発症プロセスは一過性の流感程度である場合が多く、個体を取り巻く環境内での集団寄生率に伴い個体の症状は悪化するが、個体別にもたらされる物質的内容の充足及び周囲への普及浸透密度に相反する形で衰退、この過程が条虫の典型的なライフサイクルである。多くは"男性"と呼ばれる生命体系に寄生、果てしなく新しい条虫に冒され、人生の大半を寄生されたまま過ごす。その条虫は大抵人為的にばらまかれ、一般大衆を席巻している間に次が用意される。この果てしない自転車操業のお陰で経済活動は束の間活況を帯び、情報に振り回された哀れな一般人を身ぐるみ剥ぐまで搾取することが"美徳"として遂行出来る。一般的にその条虫が保管されている場所を「マスメディア」、ばらまかれる事を「購買煽動」寄生することを「経済波及」と呼ぶ
倫理・・・現象の上下(刺激的な部分)を隠し、尚かつオブラートにくるんで服用させる「毒薬」。それによる弊害を道徳のせいにする。共に「臭い物には蓋」をし、「死」に関しては見ぬ振りを決め込んでいる。よって年々狭量な個体を世に排出することになる。道徳・倫理共経済機構(金本位制)に絶対服従の姿勢を保つ為、"精神性"を強調することはタブーとなる(物に依らない生き方を推進すると、金にならない。そうすると年寄りが干上がる。年寄りは貴方達の環境を誂えてくれたのだ。よって施す義務がある。その為には"精神性"を犠牲にしなければならない。昔からそうだったのだ。貴方が気にすることではない)。よってそれらは「貧しい」「頭がイカレた」「狂信的」「オカルト」として"幼児の手に届かぬ所"に封印され、人々を"物質至上主義戦線"の優秀な戦闘員(国の捨て駒)に仕立て上げるのだ。弊害が弊害を生むという単純な論理が理解できないマニュアル・知識至上型狭量思考人間が主にこれを実践・維持する。究極的に彼等の範疇で処理不可能の個体に関しては、その製作サイド(親)を糾弾する
ロールシャッハ・テスト・・・幼児とオカルト研究家に共有されている領域を、一般人が感心する(嘲笑う)為に用いられる事で知られているもの
浪漫・・・得体の知れない・正体不明の・実態の掴めない・風説に依る、そのままであって欲しい、という切実な願いと本当のところを知りたいという微妙な狭間で認識される
霊能者・・・「そんな事の為に利用するんじゃあない!」と後で叱責を受ける覚悟のある、「弱みにつけ込む商売なんざぁ、ろくな死に方しやしねえ!」と叱責を受ける覚悟のある、その能力が如何に不遇であったかを考える余地のない宿命を帯びた、その能力自体が果たして能力であるのかどうかも知る由のない。しかし"非合法的触媒"を用いずに別のリアリティーを垣間見る事が出来る(思い込む→強い信念になっている)、という点では有意義であると言える
利口な・・・貴方が他人との会話で不幸にも遭遇する「・人の話は聞く耳を持たない ・自分の用件(吹聴事)は山のように喋る ・会話では通常使わないような単語・比喩表現を多用する(本人は斬新で面白いと思い込んでいる向きがあるが) ・会話の内容があらぬ方向へ飛び回る ・精神的に疲労する」以上の項目に当てはまる、性懲りもなく長々と無駄口をたたく趣味を有する連中を黙らせる為の常套句としてこれを恭しく投げかけてやるのは有効な手段の一つだが、人によっては"無駄口に更なる拍車がかかる"危険性もあるので注意したい。図らずともそうなった場合、とりあえず相手が持参する"自賛"を我慢してやり過ごし、頃合い(繋ぎの部分)を見計らって"咀嚼し辛い食べ物"を与えてやる(注文する)といいだろう。「みっともない」とでも言えば相手の自尊心に抵触するはずである。が、それでも駄目な場合の応急措置として、バイブレーターに設定してある携帯電話があたかも着信したようなフリをして、居もしない電話の相手に向かって「無駄口をたたくな!」と怒鳴ると良い。それで貴方も幾分気が紛れ、無駄口の張本人も若干気勢を削がれるだろう(遠回しに自分の事を言われている、と感じるだけの利口さがあれば、の話だが)
領域(テリトリー)・・・個体が一人前の人間として社会生活を遂行する上で幾重にも保持し、思惟活動の拠点として運営の一翼を担う事が義務づけられているもの。個体の加齢に推移して領域の数も増え、構造も複雑化する。"社会人"という位置づけが為された場合を例に挙げると、先ず「趣味」という領域が最小単位で、「家庭」・「家族・親族」・「交遊」・「地域」・「経済」・「社会」・「国」という基本構造を形成している。この基本構造は序列構成ではなく、個体の都合(TPO)に合わせて優先順位が変動する。また、各領域に於いて個体は自分の立場を常に明確にしておく必要がある。というのも、領域内で発生する様々な諸問題に対処する個別役割分担の比重(責任の度合)を適正に作用させる為の大まかなガイドラインとなるからだ
楽天・・・「それで死ぬ訳じゃない」というキャッチフレーズを通常個体維持の最低基準値とし、そこよりはみ出ない(個体に及ぼされる様々なストレスが"死"に直結しない)レベルを"安心貸出ライン"に設定、ラインの引かれた内側で茣蓙を敷き、年がら年中宴に耽る(「大丈夫である」と言い聞かせる・錯覚する)事で"安心"という借り入れを増やす奇特な能力を授かった脊椎動物の一形態。しかし、それでうやむやに(蔑ろに)される極めて純度の高い"悲観"的部分(貸借管理人)は、今際にして訴訟を起こし(現実への適応を迫り)、所場代とタダ酒を煽った分の賠償請求を強いる
老成した・・・現在の若者は、死ぬまでの期間を「引き算」しながら人生を楽しんでいる。妙に大人びている訳ではない。感情を表に現さず、活気がない訳ではない。人生を投げているわけでもない。せっぱ詰まっているのだ。大人よりも遙かに身近に「死」を感じているのだ。今現在の実存時間に集約された"生き様"に全てがあるのだ。過去の人間が主張した"明るい未来"という完結すべき時間軸の曖昧さ・腑抜けさ・信憑性のなさに辟易しているのだ。到達目標を標榜する事で生きる弾みを得る無意味さを理解しつつあるのだ。そんな得体の知れない依存対象に振り回されて制約付きの人生を過ごすほど若者達はお人好しではない。何故なら、そんな負荷を背負い込むぐらいなら、日雇いで働きながら趣味に興じている方が"自分"らしいからだ。だから将来設計の構築された、先を見据えた"前近代的な"人生観を蔑視するのだ。そう、彼等には、感覚的な"時間"がないのだ。夥しい情報と嗜好の洪水でマヒしているのだ。大した楽しみや娯楽が存在しなかった近代とは訳が違う。加えて腐敗した社会情勢が拍車を掛けているのだ。「いつ死ぬかも・殺されるかも知れない」という根元的な不安材料を抱えているのだ。その根元的な不安を取り除く努力を怠った(金銭に振り回される)大人の意見など"過去の利潤で生み出された押しつけがましい理屈"としか取られていない。そんな"脳味噌に蜘蛛の巣の張った"大人達を見ながら、若者達は考えている「将来に夢を抱いた結果が今の大人達のように、常に周囲に不平不満をまき散らす事でしか自分を主張できない"哀れな"生き物として朽ち果てる宿命の切なさ」を。それが「内需拡大・経済成長」という、物理的な豊かさに依存する為に犠牲になり、軽視されていた部分であると正当化をするのなら尚の事である。闇雲に「死」を恐れ、生への欲望を煽る"属性的ローテーション業務"を強要する事しかできない大人のやり口に愛想が尽きているのだ。別に若者が「死」を美化している、と言っているわけではない。「死」を"良くない"とする根拠が社会に希薄なだけである。生きる楽しみに満ち溢れた社会環境等は、確かに"自分でそれを発見する代物"だと言ってしまえばそれまでだが、ただ単にそれは"確実に先に死ぬ"大人達の突き放した意見でしかない。そこに愛情などは感じられないのだ。その事を若者達は心得ている。「将来的に楽しめる要素」が見い出し辛いのだ。"楽しみ=金銭トレード"という図式を拵えた今の大人達にも問題があるのだ。その要素を大人達が奪い尽くしただけの話である。その奪われた環境で、若者の「生に対する闇雲な執着」が単に醜く映っているだけの事である。「楽しめるのは今しかない」とメディアも煽動している通り、旧態然の社会システムは"破壊・崩壊"の方向に転換するしか救済の道はないのだ。先の事は"どうでもいい"のである。他人の事も"どうでもいい"のである。そんな"どうでもいい"ものの為に人生を捧げる、実存への"自己実現(いわゆる"成功する"という類)"と呼ばれる美徳が日常を繋ぎ止めるほど今の社会環境にゆとりは存在しない。そんな悪あがきをするぐらいなら、どこぞの新興宗教にでも入信した方が手っ取り早い。そんな悪あがきをするぐらいなら、達成感のあるゲームソフトに時間を費やしていた方が充実感があるのだ。そんな悪あがきをするぐらいなら、金を持っていそうな大人を脅して目先の我欲相殺を試みた方が彼等の人生は濃密なのだ。少なくとも、整備され尽くした(食い散らかされ尽くした)現状では。このまま順当に推移するなら、今を楽しむ若者達の集積された現実への不安が翻って"破壊"という反動にやがては生まれ変わるだろう。これが循環する社会であり、正常で健全な人類維持システムである。"維持"する事とは「平穏な状態を保ち続ける」という意味ではないという事を、彼等が体現してくれるはずだ。それまではせいぜい"今の若者は・・・"という繰り言を口にしていればいい。どうせ先に死ぬんだから・・・
冷静・・・献血に勤しむ・肉体に鈍痛が走る事で一時得られるもの
楽・・・人類が取り組んでいる全ての研究・調査を反古にする根元的解。原子の挙動から宇宙の挙動まで、思惑を越えたレベルで行動する全ての物質は「楽でいる」事に満足・安定し、「楽でいる」事に不満と不安を覚える。小学校の理科の実験で、一方を塞いだ試験管の下の部分を熱すると、塞いだ部分が膨張するという、空気の体積変化の実験を覚えているだろうか。あれは「試験管内に楽な姿勢を保ちながら漂っていた原子が、熱せられた事でより楽な姿勢を維持しようとする」為に活発に運動するのだ。人間という個体も、その形質の根幹を成す原子が常に楽な姿勢を維持しようとする結果で「成長」し、「死」ぬ。自然も然り。宇宙も言うに及ばず。では、何故存在は「楽」でいようとするのか?答は簡単だ。「楽」が落ち着くからだ。しかし残念な事に、その存在を司る(どの様な単位にも存在する)意識体には、「楽」の尺度が予め割り当てられている。人間で言えば、「楽」だからといって一つの所に腰を据えていると、その内「動く方が楽だ」と感じ始めるようなものである。嘘だと思うのなら、健常者を狭い部屋で一日中寝かしつけてみるといい。ものの一時間と経たないうちに行動を試みるはずだ。集合意識の問題ではなく、基本仕様なのだ。全存在に渡り、この決まり事は共通している。極端な例を挙げると、ファックスで送られてきた様々な文章や画像を表示させている"感熱紙"は、時を経るに連れ退色を始める(いわゆる経年劣化)。これは彼等が「退色した方が楽」である為に起こる。夏に壁などにへばりついている蝉の抜け殻も、彼等がより「楽」でいようとした名残である。肉食獣は「楽」でいる為に草食動物を捕食する。捕食された草食動物は「楽」でいる為にもがかずにぐったりとし、存在としての集合意識活動の維持を止める。家も同じで、土壌にしっかりとした家を建てたつもりだが、年月を経て、土壌が変化し、地面が窪んできたとする。家自体は、誂えられた状態が「楽」である為にその形を維持しようとするが、地面は落ちくぼんだりする。これが人の目に触れると"欠陥住宅"という烙印を押されたりする。地震やカミナリも同じである。「楽」でいる為の現象なのだ。だが人間という極めて浅はかな生き物は、この「自然の理」に対し、誰かしらに責任の所在を押しつけたがる。その結果、過去の利潤を貪っていた連中や大自然が非難される結果となるのだが、そもそも最初からこの道理を判っていれば、誰かを恨んだり憎しんだりする必要もないのだ。「それが人間だ!」と開き直るだけの存在なら、人間は常に誰かに責任の所在を押しつけていない限り「楽」になる事はないだろう。せいぜいこれらを「重力の影響」と位置付けて封印する事が常套手段であったりもするのだが
利用価値・・・「崇高な宗教儀式」から「サーカスの見せ物」迄の集客及び実入りが期待される、一風変わった能力保持者にもっともらしい大義(建前)を説く理由の根幹部
流浪、又は流離い・・・それが指し示す明確な目的は二つ存在する。『死に場所』を探す為のものと、かつての『死に場所』を再確認する為のものである。そのストイシズムは"旅"に見出され、"旅行"の深淵に遺されている。現在では"旅・旅行"に余暇的な意味合いを求める風潮が定着しているが、本質的には変化していない(当人の自覚は問題ではない)。それらは対極の値を示しながらも、実に深い繋がりを保っている。唯一つの相違点は、既に『死に場所』の確保が出来ているか否か、という点だけである
倫理上の・・・種族維持の方法が(テクノロジの増長によって)多様化するにつれ、経済的で効率の良い俗的な仕組みに対して、二束三文の感情論で対抗しようとする試み(例)胎児を 1.中絶し、2.細かく切り刻み、3.実験体として使用し 4.各細胞を高額で取り引きし 5.重度の障害を持つ人間に移植する という流れの中で、何処の美徳を強調するかで解釈が多様化し、より正当性のある理屈をこね上げ、議会の承認を受けるまでにエスカレートするもの。従って、人間以外の動物に及ぼされる"実験"と呼ばれる暴挙は勘定に入っていない。必要とする人間の多寡によって容易く能書きが塗り替えられるものの典例
リピーター・・・貴方が購入に踏み切った、ちょっと負荷のかかった(ローン申請・身体補整・趣味性の強い・いかがわしい)商品や、身体付加サービス(医療やフィットネス、エステ、頭髪関係etc...)を提供されるに当たって、用紙に記入した私的インフォメーションが、暫くして得体の知れない通信販売の返信用封筒や身に憶えのないカタログのポスト投函に姿を変える様。通常ビジネスの世界で「潜在的商用顧客」と呼ばれている
リバウンド・・・手練手管で獲得した目的対象物(恋愛関係成立後)への恒常的な潤い・刺激を怠る事で自分に対する強度が低下し、周囲から"あの人あんなだったっけ"と噂される様。目的獲得までの期間、自分に無理をさせていたツケが回っただけの話で、「体脂肪が増える」から始まり「ファッションがダサくなる」「身だしなみに隙が生じる」「無口になる」「生理現象に遠慮がなくなる」「友人関係を優先する」等の弊害が露呈し始めるにつれ、それを理由に密着度合が増している、と相互に思い込んでいる"オメデタイ"状態。相手に対して「空気のような存在」という位置付けを身勝手に行う事で"気を遣わなくても済む"ものと互いに勘違いしてしまう為に起こる。このリバウンドが更に熟成さ
れると、今度は不特定多数に向けた強度(浮気心というやつ)へ移行する恐れあり
廉潔の・・・白痴
霊界・・・肉体を物理界に残したまま、あちこち散策して回り、しかも"夢"という個体据置型映写機能が何らかの原因によって作動していないツーリスト向けに用意されている初歩的な簡易アトラクション施設。「完璧に死んだ訳でもない(物理界に帰還する余地の残されている)連中に、非物理界の構造や、それが存在する事に関する根元的な事業・企画意図などを盗み見され、物理界で妙な繰り言をほざかれないように、或る一定の場所に隔離誘導し、彼等の人間界・物理界離れを未然に防ぐ」目的で用いられるセルフプロテクト・プログラムの事。その業務目的は「半分に"物理界"、半分に"霊界"と書かれた歯車の上を延々と走り回っている"モルモット"のような哀れな体裁を人間共に悟られない」ようにする事。アトラクションの内容は、ツーリストの場慣れ(情報を抱えている)度合によって定められており、"嗚呼、素晴らしき哉、欲望!"、"嗚呼、素晴らしき哉、人間!"、"嗚呼、素晴らしき哉、神仏!"、"嗚呼、素晴らしき哉、生き物!"、"嗚呼、素晴らしき哉、存在!"、"嗚呼、素晴らしき哉、宇宙!"と続き、ツーリストが、「ケッ、バカらしい!」とこのアトラクション自体に飽き始める迄はそこで楽しんで貰う(留まらせる)場所である。多くの"企画者側"の片割れが、放っておいても自発的に運営を行う為の"加工済み(持ち出し用)情報"を提供する場であり、進んで人間を続けさせる(簡単に止めさせない)為の様々な"楽しみ"を感覚的知覚情報として持ち帰らせる"お土産"機能も持ち合わせている。ここで得られた多くの加工済み情報は、ツーリストが帰還した物理界で様々に研究され、様々な体系(学術的・宗教的教義)として「人間」を人間たらしめている事に根本的な疑問や不満・不安を抱かせないよう仕込んでいるのである。非常に有意義で濃密な情報がもたらされているように思われがちだが、実際は「飽きさせない」為の刺激を小出しに与えているに過ぎない。従って、「物理界」「非物理界」の根元的な無意味さを悟られた(情報収集に見切りが付いた)時点で、そのツーリストには他の場所に移動(肉体に於ける"死"をもって還元)して貰う事になり、この界隈(霊界)で別のツーリストに余計な事を吹き込まないよう、「こっちの無意味も楽しいぞ」というキャッチフレーズで、別誂えのアトラクションへと隔離させる
料理人・・・"とても食えそうもない"様な食材を上手く調理し、美味しく仕立てるのが本来あるべき姿。従って元から人が観念として"美味い"と認識している食材を調理する事で満足しているのは料理人のやるべき事ではない。何故なら、美味しいと分かっている食材は、そのまま手を加えずとも十分美味しいからである。そんな"子供でも出来る"仕事をする為に料理人は存在するのではない(それらは料理人とは呼ばず、"味付け人"と呼ぶべきである)。ゴキブリやタガメやドブネズミを"絶品"に仕立て上げるのが、料理人としての命題であり、本懐である。"創意工夫"を標榜するなら尚更。こんな料理人が増えてくれれば、"高級食材"は安価に入手できること請け合い
老朽化・・・たまの休みに"楽しさ"を求めて繰り出したテーマパークで"恐怖と怒号"を抱えて帰宅を余儀なくされる理由
流出・・・事業を介して取得した情報(顧客データ等)は、その正当な目的にあっては"固形"の状態で企業に保管されている。そこに「それらの情報で"趣味や遊び"に活かせる(税の対象とならない)ポケットマネーを手にすることが出来ます」という"液状化情報"を注入し、企業に対する帰属意識の薄い(企業利益より自己利益を優先する→中途採用者やエンジニアなどの、"技術者・資格取得者"であれば、業務さえ出来れば、企業に拘る必要がない→"免職"になっても他にあては幾らでもある、と考えている)連中を刺激する。"企業に対する忠誠心"に薄く"自己利益の確保"にシビアな彼等の指先が"固形"の情報を液状へと変化させる(フロッピー等の記録媒体に落とし込む)。そして貴方の個人情報は、彼等の有意義な"バカンス"や"新車の頭金"へと姿を変える。身に憶えのない"いかがわしい"勧誘電話や通販カタログはこうして貴方の側へ近づいてくるのである
冷酷な・・・有能な占い師の
旅行・・・逃避のつもりが、図らずも個体の立脚点を思い知らされる縁へとすり替わり、後の憂いを増幅させる要素を含んだたちの悪い"浪費癖"。行程を通じて4分割でき、それぞれ「期待」「履行」「現状認識」「強制復帰」で構成
わかる・・・(見解の相違から、持論の持ち出しが根元的に無駄であることを)つくづく思い知り、あきらめの境地に至る事
笑う・・・「バカにする・取り合わない」から「怒る・食ってかかる」の間を埋めるもののうち、"それよりも更に気の利いた受け答えを考える迄の時間を稼ぐ"為に周囲を油断させる事で一般的に認知されているもの
分かち合う・・・似たような境遇・容姿等の欠点から来るトラウマを経験している者同士のみが、互いの傷を舐め合い、互いにもたれかかる事を許し合える、と期待している様子
悪あがき・・・"独りよがり"から"賞賛"までの加工行程。その基準値は「一般ウケ」
若者・・・個体(肉)の構造及び出来具合に振り回される"風船"
私達の世代・・・テクノロジの発展段階で、半ば脅迫観念的に刷り込まれている「夢物語(惑星移住・人工生命・飛躍的延命及び難病の克服)」という人類の大半が思い描いていそうな大罪が、様々な憶測を交えた議論の末、結局は元の夢物語に落ち着く際に、生殖行為と二次元嗜好物に脳細胞を活性させている若年層の鼻先に、その夢物語を悟られずにぶら下げておく為の一区切り。やる気になっているのは旧世代だけである
話術・・・言葉遊びに長けた様。広げられるだけ広げた会話の辻褄を、尋常な使い方ではない語句・言い回し使用する事によって「あんな発想はなかなかできない」と他人に思い込ませる能力。通常マスコミなどの媒介職を持つ者に顕著、潜在的強要により名を為すきっかけとなる。彼等は「一般では5分もあれば終わる会話を、"斬新な切り口と豊富な経験"を元手に(都合)30分かけて広げ、且つ一般人に"面白い"と思わせる」事で飯を食っている。一般人がこれを使用する事で数々の誤解や行き違い、蔑みや時として刃傷沙汰にまで発展する危険性を秘めている。彼等はあくまで、"メディア内での(利害を共にする)身内"という領域内での会話を楽しいと思わせているだけなので、それを大衆レベルに落とす事は避けた方がいいだろう。従って本来は「5分かかる会話を1分に縮める能力」と解釈されるのが筋
分かりそうなもの・・・「やれやれ、どうやら本当に分からなかったらしい・・・」
悪気はない・・・「そんな言い訳が通ると思っているのか!」と息巻いたところで、なんだかんだと結局はおさまってしまう事が慣例となっている事象の最たるもの。初っぱなにこれを持ち出されたら、半ばは諦めの心持ちで居る方が余計なエネルギーを使わずに済む、かもしれない
訳も分からず・・・憶えのない言語が不意に相手から発せられたが、眉間にしわを寄せて視線を落とすと、「え〜っ!知らないの?」と言われ、ともするとバカにされかねない状況に措かれる、という観念から咄嗟に「うんうん」と"知ったフリ"をして大きく頷き、相手の話を興味深く聞いている素振りを見せつつ、別の話に移行するタイミングを窺う様。哲学的・抽象的な表現を多用されている場合に顕著
忘れてました・・・忘れたフリをしてみました。エヘッ
割り切って・・・下半身関係と信頼関係は同一に作用せず、愛情と金銭は時として同様の意味を持つ、という道理。ドメスティック・バイオレンスの継続される理由の一断片
弁える・・・「出過ぎた事はするな、大人しくしていろ、それが出来なければ無駄口はたたくな。それすら出来ぬのなら目障りだからとっとと失せろ!」と言われない為に
私達の地球・・・それに対しての地球側意見陳述・・・「ちょっとばかり言わせて貰うが、あんた達の頭の"毛ジラミ"が、あんた達の頭に巣くう権利を主張したとする。あんたはその主張に対して、『OKですよ、毛ジラミさん』などと言うか?あんた達の足先に陣取っている"水虫"に、『もうちょっと大人しくしてもらえませんか』なんて譲歩しながら共生しようと思うか? あんた達なら、必至で身体を洗ったり、血が出るほど掻き壊したり、あらゆる"効き目のあるクスリ"を試そうと思うはずだ。あらゆる手段を使って"招かれざるナントカ"を排除しようと懸命になるはずだ。私があんた達に対して『そう感じていない』という確証帰属は、あんた達の一体どこら辺から漂ってくる風潮なんだ?あんた達の一部は、神だの何だのっていう奴のコピーだかを気取って種族の崇高性と絶対性を主張しているらしいが、その前に、あんた達は自分が"毛ジラミ"や"水虫"と同じである事の根本的な自覚が全くないな。あんた達の言う"奇蹟の惑星"が通俗理念なら、"毛ジラミ"も"水虫"も、あんた達と同様の奇蹟であるはずだ。あんた達だけが特別な訳じゃあない。"話したり、考えたり"という回りくどい能力はあんた達の優位性を保証しているものじゃないんだ。その回りくどい能力は、あんた達種族間同士のみに機能する取り決め事を他の種族に押し付けても大丈夫であるかのような錯覚を共有させる為に発達した訳じゃあないんだ。そんな根元的な道理を忘れて、数十億年あんた達のような連中の傍若無人な振る舞いを達観している私を"種族的所有物"気取りで括りなさんな」
「私が何に見えますか?」執行人は女に尋ねた
『私には、あなた様が、私を導いて下さる天使様に見えます。ああ、でも何という事でしょう!やはりあの方がおっしゃっていたように、天使様は存在していたのですね!』大抵の連中ならば気恥ずかしくなるようなキラキラとした目で女は答えた
「その通りです。私はあなたを導く為にここであなたをお待ちしておりました。ここでありきたりな質問をし、簡単な手続きを行って、あなたを天上へと招待いたします。先ず、あなたはここに至るまでの間、何を行ってきましたか?」執行人は手に持った記録紙に目をやりながら、実に優しい口調で尋ねた
『私は他人の為に、私と同じ境遇にいる、不幸な他人の幸せの為に、自分が出来る精一杯の努力を致しました。ある時は彼等の助けとなり、励みとなり、捌け口となりました。至らない点は多々あると思われますが、自分では納得のいく結果であると確信しています。私の周囲には常に笑顔があり、感謝があり、慈愛がありました。私だけでなく、他の多くの者達も同じ気持ちで繋がっていました。私は確信しています。私や、他の多くの者達が、光り輝く天上の門へと導かれる存在であることを。そして、そこにいらっしゃるであろう崇高な方々と、永遠の幸せを分かち合うという事を』固く結ばれた両手を震わせながら、半ば自身に言い聞かせている風な口調でその女は訴え掛けた
「よくぞ参られました。ここまでの長い道のりを、ひとえに犠牲の精神を貫き、常に廉潔であり続けたあなたを、私達は無上の喜びをもって、天上の門へと誘うでしょう」執行人は机に置いてある種類別対応マニュアルを恭しく朗読しながら、右手を大きく差し出した。その瞬間、執行人の右隣に設えた門扉が、強烈な光を放ちながら開かれた。門の遙か彼方には、白い衣装を身に纏った男や女が、むせ返るような花園の上で、蝶だの、鳥だのと戯れ、大凡その女が思い浮かべていた理想郷が展開されている
「この門の中に、あなたが求めている全てが存在します。あなたが信心深く祈りを捧げてきた崇高なる方達も、この中であなたがやってくるのを心待ちにしています。勿論、あなたが生前恋い焦がれていた連れ合いも、ここにおられます。ここに、あなたの望みとしている報いの全てがあります。さあ、ここにある用紙に必要事項を記入して、どうぞ中へお進み下さい」そう述べると執行人は分厚いバインダーから用紙を取り出し、女の前に差し出した。一瞬、女の笑顔が曇ったように感じられたが、それとて別段気にも咎める気配すらなく、丹念に、しかし素早く記入した。執行人が書類に不備がないかチェックをしている最中に、右手の門扉が荒々しく閉められた。どうやら女が中に入ったようだ。病院の手術室のような体裁で、門の上に填められ"稼働中"と書かれているサインが点滅し始めた。程なく何かしらの機械が作動する音が暫く続き、辺りはまた静けさを取り戻した。一連の作業が完了するのを確かめながら、執行人は女が書き殴った用紙を"焼却(償却)済みファイル"と背表紙の張られているバインダーに収納した
「ふぅー、まったくこの手合いはすぐに再生利用が効かないから始末に悪いな。こんなのばかりだと何れは収益率を圧迫しかねんぞ」やれやれ、という表情で執行人は椅子に腰掛けた。いつの頃からか、ここに腰掛け、ああでもないこうでもないの繰り返しに、さすがの執行人も苛立たしさを覚えていた。小刻みに左足を縦に揺すりながら日程表に目を通す。なんだよ、まだ半分も消化していないじゃないか、と悪態を付きつつ、机に置かれたインターホンのボタンを押す
「それじゃあ、次のを中に入れてくれ」『かしこまりました』秘書と一連のやり取りを終え、記録紙と種類別対応マニュアルを手に持ち、ゆっくりと立ち上がる
「私が何に見えますか?」執行人は男に尋ねた
『ふんっ!遂に現れやがったな!貴様はそこで、俺が来るのを待っていやがったんだろう!この俺様があちらで暴れ回った数々の武勇伝を、そのうすら長い耳で残らず聞き取り、俺様を貴様等の仲間にするかどうか試すってんだろう!』冷や汗を額に浮かべ、全身を小刻みに震わせながら、その実小者であることが全身から染み出しているその男は、今にも飛びかからん勢いで猛々しく捲し立てている
「お言葉ですが、私の質問に答えてくれませんか?この私が何に見えますか?」この手合いに同じ調子で突っかかっても埒があかないことは実証済みであることを執行人は熟知していた
『お、俺様の目には、貴様が、何というか・・・あ、悪魔って言う、悪魔って呼ばれている、いや、悪魔だと教えられた通りの格好をしている。そうだ、貴様は悪魔だ。悪魔そのものだ!何て言う本だか忘れたが、その本の挿し絵に描かれていた通りの、正真正銘の悪魔だ。その、耳まで裂けている、鮭だの鰹だのを一呑み出来そうな、鋭く尖って、涎をたらし、臭そうな息をしてそうな口といい、禿げ上がった頭から突きだしている、大きく、鏃のようなツノといい、背中から生えている、葉脈のように、血管の無数に浮き出した、コウモリのような羽といい、おまけに、その手にしている、虫歯菌やら、バイ菌やらが持っていそうな、三つ又に分かれている槍といい・・・』「おお、まさしくその通りだ!俺はな、ここでお前が来るのを待っていたのだ!ここでお前にどんなお楽しみを与えようかと、ずっと考えながらな!」執行人は男の話を遮って話し始めた。状況を有利に運ぶには、これだけで十分である。目の前にいた筈の、威勢のいい男は既にそこにはいない。ただ、わなわなと震えながら、臓器をかばうような格好で小さく身構えている男がそこに佇んでいる
「おいおい、そうしょげなさんな。俺は何もお前さんを取って食おうってんじゃないぜ。こう見えても俺はグルメなんでね」幾分か男の顔に生気が戻るのを見て取れる。こうでも言わなけりゃ、まともな話はできなさそうな風情である
『な、何だよ、それじゃあ、ここで俺様をどうしようってんだよ!』「なあに、心配することはない。俺の質問に答えるだけだ。そうして、お前さんに相応しい道標を提供する、それだけの事だ。俺は元々、そう言った事務手続きをする為にここにいるのだ」『嘘じゃあねえだろうな?』「その必要があるように見えるか?俺はそれ程暇じゃない」『・・・分かった。で、その質問って言うのは何だ?』先ほどよりも無難な対応をこなせそうな程に、男は回復を見せていた
「質問は単純だ。ここに至る迄の間、お前さんはあちらでどんな事をしていたのだ?」『ど、どんなって言われても、思いつくことと言えば悪さばかりだ』「では、その悪さとやらを、要約して分かりやすいように俺に話してきかせてみろ」『そうだな・・・俺は、常に何かの刺激を求めていた。俺自身がそれを求めていたのか、それとも何かの悪知恵でそうなったのかは知らない。だけど、物心付いた時から、俺は悪党だった。それは自覚していた、かなり早い段階からな。奪える物は奪い、俺の前に立ちはだかる者は容赦なくブチのめし、気の向くままに女を犯し、足の向くままに悪事の火種を蒔いて回った。実際、かなり楽しめたと思っているし、大方やり尽くしたとも思っている。どうであれ、後悔のないようにしたかったからだ』「悪事の質はどうでもいいとして、今でもお前さんは後悔していないか?」『後悔していないはずないだろ!気が付いたらここに来ていたんだ!それまでに何が俺の身に起こったのかは知らないし・・・』「付帯書類によると、お前さんは"殺死"としてある」『そうか!俺は殺されたのか!畜生!俺としたことがドジを踏んだぜ!』「その調子じゃあ、さっきの"後悔のないように"というのは達成されてはいないようだな」『その通りだ!まだやりてえ事が山ほど残っている。まだまだ女も抱きてえし、いい酒かっくらって、脂のきいた美味い料理を喰らって・・・』男の話を遮るようにして、執行人の右側に設えた門扉が開け放たれた
『これは・・・この門は、もしかして・・・』生唾を飲み込みながらおそるおそる男は"悪魔"の方に視線を返した「ははっ。別段心配することはない。お前さんが気に掛けて、口にすることすら憚られるような場所ではない。あれは、特別なテーマパークでね。滅多な場合以外は出入りが出来ないようになっているし、何分にも還元率が悪くてね。維持費とメンテナンス、それに、各アトラクションを操作する連中の人件費がバカにならない。従って、今では稼働を見合わせているんだ。実際問題、お前さん一人の為にあそこを解放すると方々からクレームが来るんでね」『そ、そうなのか。だが、やっぱりそこは実在するんだ・・・その"地獄"と呼ばれているものが・・・』「正確には"そいつの存在を信じている連中を抑制する為に"存在している、というだけの話だ。よって、お前さんのような連中には無用の代物さ。聞き覚えのある、という程度の見識なら、それがお前さんのあちら側での行為を抑止する事になるとも思えんしね」『それじゃあ、何だってそんな代物が・・・』「簡単な話だ。お前さん達は他の種族と違って、ある程度の環境をこちらから与えることで無尽蔵に繁殖する力を持っている。当然、環境自体に限りがあるから、密集度合は高まっていく。喩えれば、過疎化の進んだ地域から大都会の繁華街に移行したようなレベルにまで増長する。次第に、人間は人間を鬱陶しく思い始める。いつも肩が触れ合っているような状態を長く続けると、それだけストレスも蓄積するという訳だ。誰かが始めるのは問題じゃないが、いずれは何らかの形で食い合いが発生する。丁度、プロレスの"バトルロイヤル"の様な感じで、誰かが止めない限り、或いは誰かが何らかの決まり事を見つけ、打開策を提示しない限り延々と続けられる。種族維持所ではなくなってしまうんだな、そうなると。そいつをある程度までくい止めるために、色々な仕組みを考案し、その仕組みから逸脱しそうな連中への見せしめとして、これを設定したんだ」『だけど、俺達の中にゃあ"死後の世界を見た"とかぬかして、地獄の有様を、さも見てきたような口振りで触れ回る奴がいるのはどうしてだ?』「それは、ただ"そいつが見聞きしたものが某かの成果に繋がる"という目論見から、それと似たような幻影を投射したに過ぎない。実際にはありもしない苦しみと、感じようのない恐れを、ただただそいつの深層心理に巣くう、紙一重の欲求通りに用意しただけの事だ。そいつがお前さん達の世界で吹聴すれば、お前さんのような"何かをしでかす"連中を幾らか押さえ込めるかも知れない、そうすれば"何かをしでかさない"連中に、幾らかのアドバンテージを提供できると考えたんだな」『なるほど・・・確かに、この内幕を知っていれば、人間は誰しもが"何かをしでかす"連中へとなり果てるだろうな』「その通り。そうして、人間という存在は駆逐されまくる。次から人間をやろうなんて考える連中もいなくなる。ここを訪れる連中がいなくなる。ここの賃料が支払えなくなり、俺の仕事もなくなり、ここ自体が存在する理由がなくなる」『そいつは都合が悪いな。だが、俺はこの内幕を知っちまった。今度は向こうで触れ回るかも知れないぜ』「誰もそんなことは信じやしないさ。それに第一、お前さんがあちらに行く時には、今まで見聞きした全ての情報を還元する事が原則なんでね。お前さんのような試みは過去誰もが試そうとしたらしいが、どっこいそこらへんの管制システムはかなり周密に出来ているから、そのような"不測の"事態は起きようがない。仮にその様な事態が発覚しても、向こう側で"気違い・狂信者"程度に思われるのがオチだ」『何だか、安心したというか、どうしようもないというか、俺達はまんまと填められているわけだ』「まあそう落ち込みなさんな。お前さんはただでさえ"人間"と名の付くレベルに落ち込んでいるんだからな」『もう沢山だ。これ以上無駄話をしてもやりきれなくなるだけだ。さっさと俺の処遇を通達してくれ』「処遇と言っても、お前さんの目の前に開けている門を潜ればいいだけのことだ。それがお前さんの使命でもあり、お前さんの望みでもある」『それじゃあこの門の向こうにあるのは・・・』別に、そうしたからといって状況が柔らかくなるわけではないが、男は咄嗟に手で顔を覆い、指の隙間から門の奧を伺った。そこに見たものは、極めて懐かしい風景であった
『あれは・・・あれは俺が生まれ育った町じゃないか!何だよ、俺はまたあそこで同じ事を繰り返すのか?』「そうかもしれないが、そうとは限らんさ。何故なら、また同じ事を繰り返しても、お前さんにはその自覚が発生しないからな。またあそこで同じ事を繰り返し、またここで同じやり取りを楽しんで、またまたあそこへ戻って・・・」『・・・それの方が"地獄"だな』「そうかもしれないな。まあ、気の持ちようでどうにでもなる問題だ。それに、高々お前さんのポジションではどうする事もできないさ・・・」執行人がもう二言三言付け加えようとしている隙に、男はそそくさと門をくぐり抜けた。んぎぎいぃーーーばたん!
「奴は性懲りもなく延々とここへ来るだろう。そして何の進展もなく、何の感慨もなく、またあそこへ戻るだろう。でもって、私はまた同じ繰り言を奴に話してきかせるだろう。実に因果な商売だ。こればっかりは私ではどうする事も出来ないんだな・・・」いつしか執行人は、先ほどの男に自身を投影していた。終わり無き操業と絶え間なき来訪者。次の自覚が何らかのショックによってもたらされでもしない限り、件の女も、先ほどの男も、外で来訪者の御機嫌を取っている秘書も、そしてこの私ですら、何も変わり映えのしない瞬間を、永続していくしかないのである。ただ単純に、それらの立場が幾分違う、というだけの差違しかないのだ。満ち足りていると同時に、何と気が滅入る事であろうか!